◇はじめに
「柴田罫線理論」と聞けば、何やら秘密めいた難しい投資手法をイメージする投資家は多いであろう。機械式に「買い」「売り」がわかる秋豊流鈎足も、謎めいて感じるかもしれない。
しかし、実際に柴田罫線理論をきちんと学べば、そのようなイメージは一掃される。柴田罫線理論での投資手法は、あらゆる投資手法よりもわかりやすく、理にかなっていると考え直すであろう。
ただ残念なことに、そのことを世にしっかりと伝えている本、あるいはインターネット上のコンテンツはないといってもよく、単に投資家の「利益を得たい」という心理をくすぐるだけの材料にしか使われていないのが実状なのである。
今回、「柴田罫線理論」基礎講座という形で、じっくりと柴田罫線理論の考え方、投資手法を学ぶ機会を設けてみた。
柴田罫線理論の生みの親である柴田秋豊氏が、どのように相場を捉え、どのように分析をしていったのか。多くのテクニカル分析手法と何が違って、何が似ているのか。ファンダメンタルズ分析は、どのように考えられているのかなど、柴田罫線理論を学ぶ投資家の疑問を一つ一つ解き明かしていくつもりだ。
はじめに申し上げておくが、柴田罫線理論は、あくまで実際の相場の中でいかにして利益を上げていくかということだけに終始している。よって、良い証券会社の選定法や、カラ売りの仕組み、あるいは経済指標の見方のような直接柴田罫線理論の考え方に係わらないことを、この講座の中で述べるつもりはない。その点はご了承願いたい。
なお、秋豊流鈎足の話はかなり後だ。
柴田秋豊氏が寝食共にして、その投資手法を他人に伝授したように、相場を張る上で知らなくてはならない基礎的な考え方、見方がしっかりとわからなければ、どのような奥義も使い物にならない。
ここで解説するのは、どのように相場をみて、どのような時にどの程度のリスクをとって売買するのか、また、どの銘柄に投資をするのが効果的なのか、さらには投資を行なう上での最大の敵、すなわち己の心理が売買にどのように作用し、それをいかにしてコントロールしていくのかなどだ。もちろん基礎的な内容であっても、どれも利益に直結する内容といってよいだろう。しっかりご理解いただきたい。