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第一章 個人投資家にとって株式投資とは

自分のカンだけで勝ち続けることはできない 

株式投資をこれからはじめようと考えている投資家、株式投資の経験が浅い投資家が考えることの一つに、「株式投資は上がるか下がるかだから、確率2分の1だ。ただ、株の場合はさまざまな情報が入手できるからそれ以上のパフォーマンスが期待できる」ということがある。

そう思って、数ヵ月後あるいは数年後の、今より豊かな自分を想像して株式投資をはじめたものの、気付いたときには利益が上がるどころではなく、資産が半分になっていることはよくある。

東証一部上場の優良企業、あるいは毎年確実に利益を伸ばしている会社、多くの雑誌で「お薦め割安銘柄」と推奨されていた株に投資したのにだ。自分は間違っていないと何度も確認して保有し続けたものの、結果として資産は半分になってしまう・・・何がいけないのだろうか。

多くの投資家は「景気がこんなに悪くなるなど考えてもいなかった」とか、「こんなに円高になることは想定できなかった」とか、さまざまな理由を考え、最終的には運が悪かったという結論に達する。本当にそうなのだろうか。


景気が昨日まで良くて、今日から悪くなるわけではない。為替レートが、ある日突然1ドル80円になるわけでもない。もちろん株価もある日突然半分になるわけではないのだ。

確かに、ある日発表された突然のニュースでストップ安あるいはストップ高(ある一定以上株価が動くと、それ以上その日には株価が動かなくなる仕組み。急激な価格の変動を抑える効果がある反面、何日にもわたって取り引きが成立しないことによる弊害もある)の連続で株価が大きく変動することもある。だが、それはまれなことだと認識したほうが良いだろう。


株式投資に関わらず、これから「勝負」をしようというならば、まず何を気にして、何を分析するのだろうか。
野球でもいい、テニスでもいい。まず考えるのは相手がどのような人なのか、過去の成績(実績)はどうなのか、ではないのだろうか。

株式投資も基本は同じだ。ソニーの株を100株購入するということは、その購入する株価で100株売る人がいるということなのである。株式投資は相手がいるということを忘れてはならないのだ。


では、株式投資における相手とはどのような人なのであろうか。自分と同じように、雑誌の推奨銘柄を自分なりに研究し、割安と判断して購入する個人投資家がほとんどなのであろうか。

答えはノーだ。実際に、株式相場に参加している投資家のほとんどはプロフェッショナルな投資家だ。自分の勝負する相手とは、プロなのである。

ここで一つ確認しておかなくてはならないことがある。

2004年頃から個人投資家のインターネットを通した売買が急増し、個人投資家1人あたりの売買回数は大きく増加した。中には同じ銘柄を1日に何度も売買をおこなう投資家(デイトレーダー)や、次から次へと銘柄を乗り換える投資家も多い。その結果、1日の売買代金あるいは(出来高)に占める個人投資家の比率は大きく上昇したのである。

しかし、実際に市場に投入されている資金量そのものは、そのほとんどがプロフェッショナルな投資家の資金(投資信託やファンド含)といってよいだろう。多くのプロは、個人投資家のように、短期間で売買はしない。つまり、1日の売買代金に占める割合が高くなったからといって、個人投資家の力が大きく増したわけではないのである。


仕事の傍らで年に数回売買している個人投資家や、退職金の一部で株式を購入している、いわゆる個人投資家というものは本当に少ないと考えてよいだろう。先程の、1日に何度も売買を繰り返すデイトレーダーなどは、個人投資家といえどもセミプロといえよう。その売買で生計をたてようとしているのである。彼らを含めて、証券会社の自己売買部門、生命保険や年金を運用している機関投資家が、我々の相手なのである。

しかも、最近はさまざまなテクニカル手法を用いた外国人投資家など、よりプロフェッショナルな投資家の参加も多いようだ。



まず、認識しなくてはならないことは、彼らにとって株式の売買は仕事であるということなのである。朝、株式市場のはじまるまでに、前日のNY市場の動向、為替の動向、そしてさまざまなニュースをチェックし、1円でも有利な株価で売買しようと血眼になっているのである。

投資する会社を適当に決めているわけではない。その会社の資産状況から、扱っている商品などの情報、社員構成からその社員の士気までも調べつくして投資をするのである。投資する会社に足を運ぶことなど当たり前なのだ。

その結果、現在の株価が割安だと判断すれば買い、割高だと判断すれば売る、今知りえる可能な限りの情報を分析するのがプロの投資家なのである。

では、我々が株式投資する際に入手しているさまざまな情報を、彼らプロの投資家は知らないということがあるのだろうか。PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)がどうかなどということを知らない訳がないのである。彼らは更なる先をみているのである。

プロは組織力を最大限に活用して、投資対象をくまなく調べつくして投資するのに、我々が昨日読んだ雑誌の特集記事を元に売買したところで、その記事の内容はとうの昔に株価に織り込まれているといって間違いないだろう。

彼らは1円、1%の利ザヤを稼ぐために必死なのである。我々がいくらニュースや新聞記事や雑誌による情報で株式を売買しても、結局その売買とは、既に株価に織り込まれた情報をもとに、更にどちらへ動くのかを占った「カンによる売買」だといえるのである。

これでは株で勝ち続けられる訳がない。
プロが最新の兵器をもって戦場(相場)で戦っている中に、個人投資家がフラフラと入り込めばどうなるのかは、考えるまでも無い。運良く味方が周りにいても(買い方の攻勢のときに買いに参加)、気付いたときにはプロは撤退していることも多い。いずれにせよ、あっという間に餌食になってしまうということを認識しておかねばならないのだ。

 

株式投資には相手がいる― まず、相手(プロフェッショナルな投資家)が何を根拠に売買しているのかを知ること

 

      

 

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