◇第三章 株価の変動をグラフにした「チャート」とは
* 株価チャートの基礎知識 *
個人投資家が株を購入する前に必ず確認しなければならないのが、今日に至るまでの株価の流れ(動き)だ。その理由は前回までにじっくり学んだ。ここではその株価の流れ、すなわち「チャート」の基本を学んでみよう。
株価の変動をグラフにして表したものがチャートである。日本で一般的にチャートといえば、始値、高値、安値、終値を一本の棒の中に配置したローソク足(あし)といわれる記号を、時間の流れとともに左から右へ記録するのが一般的だ。
当講座ではこのローソク足を用いたチャートを中心に、実際に株価の流れをどう見たらよいのかを解説する。
当講座の回数を重ねた後には、時間の流れに比例しない特殊なチャート、鈎足(かぎあし)チャートについても掲載する予定であるので、別途参照していただきたい。
株価の流れを、形として実際にみることができるのがチャートだ。
第二章で、野球の勝敗を占う際に、その日の勝敗を占うのと、シーズンを通して優勝するのかを占うのとでは、みる流れが違うと述べた。
株価チャートも全く同様だ。始値、高値、安値、終値を一本の棒の中に配置したローソク足も、1日の中での始値、高値、安値、終値を一本の棒に配置した日足(ひあし)チャートもあれば、1ヶ月の始値、高値、安値、終値を一本の棒に配置した月足(つきあし)チャートもある。
最近では5分間の始値、高値、安値、終値を一本の棒に配置した5分足(ふんあし)のようなチャートもインターネットの普及で一般的になってきた。
自分がどのような期間(スタンス)で投資をおこなうのかによって、見るべきチャートは変化するのがおわかりかと思う。1日の中で売買するデイトレーダーといわれる投資家(超短期投資スタンス)がみるのは1分足や5分足が中心だ。株式を買ったら、3ヶ月から半年程度は保有して利益を出したいと考えて投資する投資家(中期投資スタンス)ならば週足などが中心になるであろう。
そのような中期投資スタンスの投資家が1分足で、流れが変化したところをとらえて買い投資をおこなっても、なかなかうまく利益がでない。野球でいうならば、1回の表の攻撃で、ヒットが立て続けに出た瞬間をみて、今シーズンは優勝だと考えるのと同じことだからだ。ヒットが立て続けに出て判断できるのは、その回に点が取れるかどうかの判断ぐらいであろう。これはデイトレーダーの世界である。
現在、一般的なチャートは日足、週足、月足だが、年足あるいは1分足、5分足も利用している投資家も多い。その他にも1日を半分に分けた半日足や2日足、3日足、そして週足といっても木曜日からはじまって次週の水曜日で終了する週足まで、さまざまなタイプが存在する。
本書ではポピュラーな日足、週足、月足を用いて解説をおこなってはいるが、本来はそのような区分け自体がチャートを観測する上での障害になることもある。株価の流れが、どのチャート上ならばきれいに見えるかは、銘柄によっては3日足である場合もあるということを覚えておいて欲しい。