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第四章 株価の基本的な動きを学ぶ

斜線は何度も引き直しながら引線する

図7、白銅(東証一部7637)の週足チャートで、2002年11月からの株価上昇時の流れを例に、実際の斜線の引き方について細かく解説をしてみる。

斜線の引き直し(上昇時)むりやり線を引こうと思えば、ローソク足が2本できたときには線が引ける。しかし、その信頼性は高くないことはわかるであろう。実際に上昇の流れに入ってきたと感じはじめるのは4~5本のローソク足が引線されてきてからである。
ある程度、株価の流れがみえてきたら、すぐに斜線を引いてみよう。既に斜線を引線する意味や、その基本的な引線法(第6回参照)は述べてある。ここでは現在に至る流れを見極めるための、斜線の引き直しについて、株価上昇時を例にしてまとめた。左表を参照していただきたい。

株価の流れをとらえるのが斜線であるから、自分がみている流れの方向と、斜線の方向があまりにもずれていた場合には、斜線を修正する必要がある。流れが急な上昇に変化した場合も同様だ。もともと上昇と判断しているところで、斜線からさらに大きく乖離して(離れて)いくような場合には、急な流れにも下値斜線を別途引くべきであろう。

とはいえ、このように斜線を引線するとチャートは斜線だらけになってしまう。しかし、一度記入した斜線はなるべく残しておいていただきたい。
紙に記入するならば、はじめは鉛筆が良い。ある程度時間が経って、流れが大きく変化したときにはじめて、鉛筆で記入した斜線を消して、正しい斜線のみをペンで記入すればよいのである。

実際に図7でみてみよう。

目先の下落の流れを表す上値斜線①を陽線で上に切ったのは、02年12月24日の週だ。翌年1月14日には、過去から続くより大きな下落の流れを表す上値斜線②も上に切った。
その際に引線するのは11月の安値と12月の安値を結んだ下値斜線③だ。その後を観測すれば、5月12日の週の安値がピタッとおさえられていることがわかる。

その後、株価はその下値斜線から大きく上昇し離れはじめた。そうなれば、下値斜線③はそのままに、5月12日の週の安値と6月16日の週の安値を結んだ下値斜線④を引線する必要がある。しかし、7月14日の週の安値からさらに大きく上昇しはじめ、最終的には下値斜線⑤の流れで表されるような、急騰につながったのである。

その後、大きく下落してきた株価がかつて観測していた下値斜線④でピタッと止まれば、下値斜線④の信頼性はグッと高まる。11月17日の週の安値だ。

その後は、大きな株価上昇の流れは、この下値斜線を陰線で下に切るまで続くと判断するのである。

ヒゲで下に切る、あるいは陽線で下に切るときの修正は、次のような場合だ。

その後、12月22日の週の安値でその斜線を下に切ったものの、チャート上に描かれたローソク足は、終値が高い陽線だ。反転下落し陰線をつければ斜線切り(売りサインの出現)と判断できるが、大きく戻した時点で、修正した下値斜線⑥を引線することになる。

さらに翌年2月9日、16日の週は、ヒゲでこの下値斜線⑥を切り、再上昇時に再度下値斜線⑦を引線することになる。

何点か支持された下値斜線④に対して、同⑦は、それ程違わない。その斜線をヒゲながら大きく下回ったのが5月17日の週の安値だ。ここでもう一本下値斜線⑧を引線する必要があるが、第6回で解説した飛び出しである可能性もあり、その後は下値斜線⑦と同時に観測すべきだ。

最終的にこの上昇は、重要視していた下値斜線⑦を陰線でしっかり下に切った8月9日の週、あるいは下値斜線⑧を切った9月6日の週に至るまで続いたのである。

白銅(東証1部7637) 週足チャートこれら斜線を引線すればわかるように、この斜線に沿った投資であるならば、買い玉を手仕舞う(利益確定)のは04年8月9日の週、あるいは9月6日の週以降となると同時に、斜線を切る前に信用売りを仕掛けることは原則ないといえる(リスクの軽減)。

もちろん、短い投資期間で俊敏に手仕舞いをする可能性があることを認識すれば、目先の流れである下値斜線⑤や⑨を切った際に仕掛けるのも可能だ。斜線を引線することによって、その後の「保有し続ける」「手仕舞い」の分岐点(下値斜線位置⑦)が明確になる。これがわかるのか、わからないのかの違いは、あまりにも大きいといえよう。

逆に、目先の上値斜線⑩、⑪を上に切ってきたところは、下値斜線⑦や⑧を下に切らないところからの反転時であるわけだから、買いを仕掛けるポイントとなりうるといえるのである。

なお、多くの場合、ヒゲや陽線による斜線の修正作業は、流れが変化したばかりの頃に頻繁に発生する。流れが変化したばかりであるのだから、引線されるローソク足の本数は少なく、ともすれば目先の動きに翻弄されることもあろう。

ただ、流れが変化する前に、どの程度の流れを観測していたのかをチャート上で追ってみれば、その流れに対しての株価の流れが、どの程度の日柄(時間)を経なければできないかはおおよそわかる。

 

みている株価の流れが、斜線から大きく乖離すれば引き直し、
はみ出せば引き直す、流れが変化したばかりの頃は特に頻繁に

 

     

 

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