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第四章 株価の基本的な動きを学ぶ

株価の流れが変わるときがチャンス

これまで、株価の流れをとらえる方法として、斜線の引き方について解説してきた。
ここでは、その株価の流れが変化するところ、すなわち斜線を切るところについて解説する。原点に振り返りながら学んでいただきたい。

株価の変動は、ある日突然300円が1000円になるわけではない。ある一定の持続的な買いの力によって、徐々に上昇していくのが一般的だ。もちろん、買いの力が売りの力に比べて著しく大きい状況では、短期間で上昇するであろう。しかし、それでも株価の流れはあるのである。

では、その流れが変化したと判断するのはどのような時であろうか。

注目している銘柄を買いたくて我慢できない投資家から、次のような相談を受けることが結構ある。
日足チャートや週足チャートをみながら、観測していた上値斜線(上値抵抗線)をよくみると、今日あるいは今週に切ったような感じにみえるのだが、厳密にはどうですかという内容だ。

切ったか切っていないのかが、自分で判断できないような微小なものであるならば、それを切ったとはいわない。斜線を切る、即ち流れが変化するということは、チャート観測上極めて重要なことである。

その流れが長期にわたって、何度も頭をおさえられている上値斜線ならば、その斜線の信頼度は高い。
その流れが変化するのかしないかによって、その斜線で、反転下落する(売りスタンス)か、斜線を超えて上昇する(買いスタンス)か、投資する方向が180度逆の判断となるのである。

そのようなとき、今までの流れが下落であるならば、まずはその斜線で再下落が基本であろう。今までの実績(流れ)が優先されるのである。

多少のブレなどを考慮すれば、越えた(切った)かどうだかわからないような状況で、今までの流れとは逆方向に投資をおこなうということは、高いリスクを負うことになる。

流れが変化したというサイン、即ち斜線を切ったというサインは、下落時の上値斜線ならば陽線の実体(終値)でしっかり上に切ることであり、上昇時の下値斜線ならば陰線の実体(終値)でしっかり下に切ることなのである。

ここで、斜線を切ったかどうかの判断基準について、下落時の上値斜線を例にまとめてみる。

 

陰線で上値斜線を上に切ったものの、終値では斜線を超えられなかった場合は、いったん見送り。次の陽線の終値で斜線を上に切るまで待つ。
陰線で上値斜線を上に切って、終値も斜線を超えた位置で引けた場合は、ほぼ間違いないが、次の陽線を確認する。今までの流れが変わるという、重要な日(週、月)なのに、始値より終値の方が安い陰線では、不安だ。
やはり、しっかりとした上伸で引ける力強さが欲しい。
陽線の終値で切ったものの、そのはみ出た値幅は極めて小さく、手書きのチャートならば十分に誤差となってしまうような状況では、次の寄り付き(始値)あるいは次のローソク足をみて判断する。
陽線の終値で切ったものの、非常に長い上ヒゲをつけて終了した場合は、いったん様子見。その後の力強い陽線を確認する。
陽線の実体(終値)でしっかり上に斜線を切って引ければ、流れが変化する可能性が高いポイントとして、しっかり認識をする。

 

原則の考え方はここに記述したとおりだが、例外の判断方法も加えて実例を紹介しよう。

ホソカワミクロン 図8、ホソカワミクロン(東証1部6277)の日足チャートを参照していただきたい。ジリジリと下落した流れを表す上値斜線Aを、陽線の終値で上に切ったのは①だ。その後、流れは上昇に転じた。この①で買いサインの出現となり、原則は翌営業日に対応する(日足チャートのため)。

その後の上昇は何度かの修正を繰り返す。例えばB(点線)の下値斜線を観測していると、その下値斜線を陰線で下に切ったのは②となる。

翌営業日に対応するのが原則であるが、翌日は目先の上値斜線C(点線)を③で上に切って、再度上伸したのである。

そこまでの上昇は、決してきれいな流れ(何点もの支持点)を形成していたわけではないが、その後の上昇を示すDの流れはきれいだ。何点もの支持点が確認できる。

その後、下値斜線Dを観測すると、4月下旬に陽線で斜線を下に切ったのがわかる。

まだ、上昇に転じてから時間が経っていなかったり、例え時間が経っていても、それ程きれいな支持点が確認できなかったり(2点のみの支持など)すれば、先に記述したように、すぐに下値斜線の修正をする必要が生じてくる。

しかし、この図のように、その流れがしっかりしていれば、そのまま様子をみることになる。3営業日間は陽線であったものの、その間に上昇の流れに戻ることなく、しっかりした陰線④をつけた。ここが売りのポイントだ。

その後の下落の流れ、上値斜線Eを上に切った⑤は問題ないであろう。

次の下値斜線Fを見ていただきたい。何点ものきれいな支持点を持つ下値斜線を、陽線で下に切ったのが⑥だ。この陽線の後に、斜線を切った位置で陰線をつければ売りサインの出現だ。もちろん、下値斜線より上に戻ったら事情は異なる。

実際は大きく上伸、一時的な押し目を形成した格好になったのである。

本来はここで下値斜線をG(点線)に移す必要がある。しかし、そこに至るまでにしっかりとした流れを形成している場合には、Fを基本として、Gも参考に観測するという方法が望ましい。もちろん、その後の上昇がDのような、きれいな上昇であるならば、基本の観測はGに変更だ。

しかし、どちらかといえばFに沿った上昇を形成し、その流れはしっかりとしている。再度Fを中心に観測をおこなう。その後しっかりとした陰線でFを下に切ったのは⑦だ。その翌日⑧で、下値斜線Gも下に切るので、いずれにせよ売りサインの出現とはなるが、翌営業日の寄付きで30円の違いは大きい。

はじめて斜線の修正をおこなうのならば、次の上値斜線H(点線)から上値斜線Jに至る修正が最もわかりやすい。

陰線、あるいはヒゲで上に切るたびに修正を繰り返し、その間に一度も買いサインの出現には至っていない。Hが引線される前にも、もっと厳しい(急角度の)斜線も引線できる。最終的に陽線で上に切ったのは⑨だ。実際に様々なチャートに引線してみてほしい。

サッカーなどのゲームも同様だが、流れが変わるところが肝心だ。
試合の行方を予想するなら、そう易々と流れが変わったと判断しないであろう。
今まで押されていたチームが、点は入らなくても立て続けにシュートを相手ゴールに放った時などに、流れの変化を感じ取ることはあっても、コートの中央付近で相手のボールを奪ったぐらいでは、流れが変わったとは判断しないであろう。

流れが変化するところとは、これまでと反対方向に進む起点となる訳だから、相当な「力」を感じとることができた方がとらえやすいし、確実だ。

みている株価の流れが定まれば(何点もの支持点があれば)、
「流れが変わった」という力強さを感じる斜線切りが変化のサイン

 

この章においては、流れの変化とはどのような場合にとらえればよいのかを詳細に述べた。しかし、我々は実践相場の中で、たった一つの個別銘柄だけを追って、投資をおこなっているのではない。

この基礎講座を最終回まで読んでいただければ納得されるであろうが、多くの銘柄の中から、より有利な、より確実な、流れの変化だけをとらえればよいのであって、流れが変化する可能性があるものの、チャートから力強さが感じられない場合や、そこに至るまでの流れそのものがはっきりしていない場合、更にはよくわからない場合には投資をする必要はないのである。

何度も繰り返すが、相場に参加している大多数を占めるプロフェッショナルな投資家に対抗して、我々が同じように企業を分析しても、元になる情報の量、正確性、スピード、更に情報の分析能力のいずれも劣るのは当たり前なのである。

それを中途半端に分析したり、あるいは分析能力の信頼性に欠ける雑誌の推奨銘柄(プロの投資家は株価の上昇で利益が上がり、出版社は売り上げが伸びて利益が上がる。すなわち企業を分析する目的が違う)に投資をおこなうということは、既に株価に織り込まれた状況から、更にどちらへ株価が進むのかを自分のカンで判断する投資行為にすぎないのである。

我々が唯一入手できる確実かつ普遍的な情報は、その時取り引きされた株価(取引き情報)だけである。
そこには、市場に参加している全ての投資家の判断(売りか、買いか)が、正確に反映されるのだ。

我々にできることは、さまざまな情報を握っているプロフェッショナルな投資家を含めた全ての投資家が、どう判断したか、売り姿勢から買い姿勢に変化したか、すなわち売りの力に対して、買いの力が勝ってきたかをチャートから読み取り、より確実に流れが変化したところだけ、その流れについていくことなのである。
これが柴田罫線理論による投資法の考え方だ。

仮に、その方向が定まらないような時、プロの投資家の中でも売りと買いの判断が大きく分かれているような時、チャートは同じようなところで不安定な動きをする。
そのような状況では参加しないで、静かに戦いの行方を見守ればよいのである。

その中で投資を行なうということが、いかに高いリスクを負わなければならないかは言うまでもないであろう。

株価の流れが変化したところとは、
参加している全ての投資家の、力関係(買⇔売)が変化したところ

 

     

 

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