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六章 短期で売買するのか、中期か、長期か

売買投資スタンスと観測すべきチャートを合わせる

ここまで、株価の流れについてその基本事項を学んできた。段を形成する話から、斜線の引き方、斜線を切るということ、若い相場、老境の相場などだ。
ただ、実際に売買しようとすると、ローソク足チャートには様々な種類があって、迷ってしまう。日足、週足、月足、さらには分足などもそうだ。一体どのチャートをみて判断するべきなのか。

取引された株価は、どのチャート上でも同じであり、その株価を1週間に1回だけグラフ(チャート)に記入するのか、1ヶ月に1回だけ記入するのかによって、描かれるチャートが変わってくる。2日に1回記入すれば2日足チャートになり、半日に1回記入すれば半日足チャートになる。
全てのチャートの元(株価)は同じであることは言うまでもないが、小さく細かい変化(流れ)をみるのか、大きく長期的な変化(流れ)をみるのか、あるいはその中間をみるのかで、みる(観測する)べきチャートが違ってくる。
すなわち、自分がどのような売買投資スタンスで投資をおこなうのかによって、主に観測すべきチャートの種類が分かれてくるのである。

例え話で考えてみよう。
今、自分のいる所から別の場所に移動しようとしているとき、それがショッピングモールの中での移動なら、館内地図を参考にするであろう。しかし、そこから駅までの移動ならばどうだろう。
一方、自動車で自宅までの道のりならばどうだろう。自分が、これから歩もうとしている道程と、それにあった地図を合わせなければ、なかなか効率のよい移動ができないのである。
これは株式投資でも全く同じだ。デイトレーダー(1日の中で売買を繰り返す投資家)が、月足チャートを一生懸命みても効果は上がらない。
1日に1本のローソク足が描かれていく日足チャートで、大きな流れを意識しながら、実際の投資は1分足や5分足で流れが変化した転換点をとらえて投資をおこなうのがデイトレーダーだ。

逆に株式を購入したら、1年以上は持ち続けるという長期スタンスの投資家にとって、1分足や5分足はもちろんのこと、毎日引線される日足チャートを追い続けることも、あまり意味はないだろう。

 


やはり、週足あるいは月足チャートを中心とした観測が適しているのである。
ショッピングモールの建物の形がわかるような地図で、ショッピングモールから隣の県にある自宅までの的確なルートはみつけにくいのと同様だ。

図35、アーバンコーポレイション(東証1部 8868)の日足チャートでの2006年6月16日の買いは、一見すれば間違っていない。

しかし、そこに至るまでの半年以上の下落を観測し、その流れが変化するところをとらえて中長期で利益をとろうと思うならば、週足あるいは図34のような月足チャートをきちんと観測しなくてはならない。
上値斜線Aを切ったのは8月末日であるから、投資を行うのは9月以降だ。

中長期スタンスで買いを狙う際に、あえて日足チャートを観測して買うのならば、まず月足チャート上で8月末日に流れが変化したことを確認し、その後に目先の流れが下落から上昇に転じた際で十分なのである。
下値斜線Dを下に切った直後に、目先の上値斜線Eを上に切ったところ(9月5日)は難しいが、2回目の押しである目先の上値斜線Fを上に切った9月27日なら、問題ないであろう。
このように目先の買いサインの出現と、長期的な流れの買いサインの出現が、一致しないことはよくある。大勢の上値斜線を日足で上に切ったものの、目先は既に3段以上の上昇を形成し過熱していれば、将来的に上昇するにせよ、いったん下がるのは当然ともいえるのだ。

チャート観測を元に投資をしている投資家で、様々なテクニカル手法を知っていながら利益がなかなか出ない投資家の多くは、自分の投資スタンスと観測しているチャートが一致していない場合が多い。
投資スタンス(買ってから売るまでの期間あるいは売ってから買い戻すまでの期間)と、観測すべきチャートは、合せなくてはならないということを必ず意識していただきたい。

図36を参照していただきたい。投資スタンスを大きく分けて4つに分類して表示してある。おおよその分類なので、これらに属さない中間的スタンスもあり得ることを留意していただきたい。



相場状況の違い、チャート上できちんと認識していれば、投資をおこなっている途中でもスタンスを変更することもできる。ショッピングモールから自宅までの最適なルートをみつけるのに、まずはショッピングモール付近の拡大地図を参照し、大きな道路からは、全てをみることができる広域地図をみて、自宅近くでは、また拡大地図に戻す方法だ。

ただ、一見合理的に感じる投資スタンスの変更は、実際に試してみればすぐにわかることであるが、たいへん難しい。

投資スタンスの変更については次回以降で詳しく述べる。

 

どのチャートで売買サインが出現したのか! 日、週、月足か!
どのチャートは若い相場で、どのチャートは老境相場なのか!

 

       

 

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